バレーボール女子Vリーグ・KUROBEの元監督、丸山貴也さんが2025年9月21日、がんのため63歳でこの世を去った。長野県出身、筑波大学バレー部出身という名将の訃報に、バレー界は深い悲しみに包まれている。
丸山さんの人生は、まさに「バレーと家族に捧げた人生」そのものだった。指導者として選手を勝利に導き、家庭では妻や子供と共にバレーに情熱を注ぎ続けた。その背中からは、勝利だけでなく、人生を生き抜く力までが伝わってきた。
■ 死因
- がん
丸山さんのがんが発覚したのは8月14日。9月3日に入院したばかりという短い闘病期間だった。しかし、その間も現場への思いは変わらず、最後まで指導者としての責任感を貫いた。選手たちにとって、その姿勢は生涯忘れられない教訓となった。
■ プロフィール
- 名前：丸山貴也（まるやま・たかなり）
- 年齢：63歳
- 出身地：長野県
- 職業：バレーボール指導者（元KUROBE監督、元江戸川大学監督）
■ 学歴
- 筑波大学卒業
- 筑波大学バレー部で選手として活躍
大学時代から周囲を引っ張る存在であり、勝利への執念とリーダーシップの片鱗を見せていた。
■ 経歴
丸山さんのバレー人生は、指導者としてのキャリアと深く結びついている。
- 筑波大学卒業後、日立のコーチとして指導者デビュー
- 小田急、KUROBEで監督を歴任
- KUROBEでは次女・紗季選手が所属し、親子で師弟関係を築く
- 2023年より江戸川大学バレー部監督に就任
- 妻・由美さんがコーチとしてチームを支える
- 厳しい練習の成果で短期間ながら試合で勝利を導き、選手たちの成長に大きく貢献
指導者として丸山さんは、「選手の可能性を引き出す魔法使い」のような存在だった。夏の猛練習の厳しさも、選手たちが勝利を手にした瞬間にはすべて意味があると感じられるほど、成果につながる指導だった。
■ 結婚相手
- 丸山由美さん（旧姓・江上）
- 1984年ロサンゼルス五輪女子バレー銅メダリスト
- 1986年に結婚
夫婦でバレー界に尽力し、互いに“親友”として支え合った。
由美さんは取材で「夫婦であり、親友でもありました」と語った。バレーという共通の情熱を通して築かれた二人の絆は、単なる夫婦の域を超えていた。指導の現場でも互いを信頼し合い、補完し合う関係があったからこそ、チームも力を発揮できたのだろう。
■ 子供
- 次女・紗季さん（現ビーチバレー選手）
- KUROBE在籍時には父の指導を受け、親子で師弟関係を築く
父としても丸山さんは厳しさと愛情を兼ね備えていた。勝利だけを求めるのではなく、選手として、人として成長するための道を示したのだ。
■ 家族とバレーに捧げた情熱
丸山さんの人生は、指導者としての栄光と家族との時間が密接に絡み合ったものだった。KUROBEでの親子師弟関係や江戸川大学での勝利は、単なる成績以上の意味を持つ。選手たちにとって、勝利は丸山さんの背中から学んだ努力と情熱の結晶であり、人生そのものを体現した指導の証だった。
練習中の真剣な眼差し、試合前の厳しい檄、勝利の後に見せる微笑。丸山さんのすべての行動が、選手や家族の心に深く刻まれた。妻・由美さんは「夫婦であり、親友でもありました」と語り、選手たちも訃報を聞き、号泣したという。その光景からも、丸山さんがどれほど多くの人々に愛され、信頼されていたかが伝わってくる。
■ バレー界に残した遺産
丸山さんは、監督としての実績だけでなく、家族との関係、選手への影響、そして何よりバレーへの情熱を遺した。
KUROBEでの親子師弟関係や江戸川大学での勝利は、単なる記録以上の意味を持つ。人生をかけて愛したバレー、その情熱は決して消えることはない。
通夜は9月26日、葬儀は27日に東京都町田市で執り行われる予定。悲しみの中でも、丸山さんの情熱と愛は、これからもバレー界と家族の心に生き続ける。
丸山さんの背中は、今後も多くの選手、弟子、そしてバレーを愛する人々の心の中で、静かに、しかし力強く輝き続けるだろう。