フランス東部ブザンソン――古い街並みが夕暮れに染まるころ、ホールに響く拍手は止まらなかった。2025年9月27日、若き指揮者の登竜門として知られる「ブザンソン国際指揮者コンクール」の舞台で、**岡山市出身の米田覚士さん(29)**が世界の頂点に立ったのだ。
日本人の優勝は6年ぶり、歴代11人目。会場に集まった聴衆も、審査員も、緊張と感動が入り混じる空気に飲み込まれた。米田さんは、幼少期からの音楽の道がすべて結実したかのように、堂々たる姿でオーケストラを導いた。
コンクールには世界中から271人が応募。13カ国・地域から20人が本選に進み、最終選考に残ったのはわずか3人。米田さんはそのトップバッターとして登場。プロコフィエフのバレエ音楽を、緻密かつダイナミックに指揮したその手元には迷いがなく、オーケストラは見事な一体感を生み出した。演奏が終わると、会場は割れんばかりの拍手に包まれた。
授賞式後、米田さんは目に涙を浮かべながら語った。「とてもうれしい。今日まで支えてくれたすべての方に、感謝の気持ちを伝えたい」と。その表情からは、勝利の喜びだけでなく、これまでの努力や葛藤、そして未来への決意がにじみ出ていた。そして抱負は力強い。「世界中の素晴らしいオーケストラと音楽を奏でる指揮者になりたい」。音楽への情熱と、舞台に立つ者としての責任感が、言葉に込められていた。
🎵 プロフィール
- 名前:米田覚士(よねだ さとし)
- 生年:1996年(29歳)
- 出身:岡山市
- 出身高校:岡山城東高校
- 職業:指揮者
幼少期からピアノを始め、桃太郎少年合唱団や岡山市ジュニアオーケストラで打楽器を担当。音楽に囲まれて育ち、自然と舞台に立つ才能を磨いた。クラシックの正統的な技術に加え、ポップスやエンタメ舞台でも指揮する多彩さが彼の大きな魅力だ。
🎓 学歴
- 岡山城東高校 卒業
- 2016年:東京藝術大学 音楽学部 指揮科 入学
- 2020年:東京藝術大学卒業(在学中に「平成30年度安宅賞」受賞)
名門・藝大で磨かれた理論と技術は、米田さんの確かな指揮力の土台となり、世界の舞台での自信と表現力につながっている。
🎶 経歴と活躍
米田覚士さんの歩みは、まるで音楽への情熱を体現する物語のようだ。
- 2017年
- 東京音楽大学のマスタークラスでパーヴォ・ヤルヴィに師事
- 熊本で山田和樹による公開講座を受講
- 「土の歌」を指揮し、混声合唱オーケストラをまとめ上げ、早くも注目を集める
- 2020年
- 渋谷区文化総合センター大和田10周年記念演奏会で「ラプソディ・イン・ブルー」を披露
- 2021年
- フジテレビ主催「シネマティック・オーケストラコンサート」に客演
- 東京国際音楽コンクール〈指揮〉に入選、日本人最高位・奨励賞受賞
- その他
- 歌手GACKTのコンサートでオーケストラを指揮するなど、クラシックの枠を超えた活動も展開
- 2025年
- ブザンソン国際指揮者コンクール優勝、日本人として6年ぶりの快挙
国内外で研鑽を重ね、クラシックとエンタメを自在に行き来する柔軟さが、米田さんの大きな魅力だ。
💍 結婚相手
現時点で公開情報はなく、結婚については不明。音楽に全力を注ぎ、舞台で魅せることを最優先にしているようだ。
👶 子供
子供に関する情報も公開されていない。プライベートは非公開ながら、舞台での表現力に全力を注ぐ姿勢がうかがえる。
✨ 総評
米田覚士さんは、若くして世界の舞台で注目を集める指揮者として、その存在感を示した。技術だけでなく、人の心を揺さぶる音楽を生み出す力こそ、今回の快挙を可能にした原動力だ。
岡山で生まれ、国内外で研鑽を積み重ね、ついに世界の舞台で輝きを放つその姿は、新世代クラシック界のスターの誕生を象徴している。ブザンソンでの優勝はゴールではなく、新たな旅の始まりに過ぎない。これから世界中の舞台でどんな音楽を響かせるのか――その歩みに目が離せない。
米田覚士さんの物語は、努力と情熱、そして夢を諦めない力を教えてくれる。クラシックの未来を切り拓く、若きマエストロの挑戦はまだ始まったばかりだ。